Louise Gagnon
Medscape Medical News
【トロント 10月19日】米国感染症学会(IDSA)および米国胸部学会(ATS)が、初めて、市中感染性肺炎(CAP)の診断と治療に関するガイドラインの共同発表を行った。
新ガイドラインのハイライトが米国感染症学会(IDSA)第44回年次集会で発表され、すぐに承認されている。ATSは新ガイドラインを既に承認していた。これらのガイドラインは、院内感染性肺炎の治療に関する2つの学会のガイドラインの共同発表に続くものであり、1月にIDSAのウェブサイト(http://www.idsociety.org)に掲載され、『Clinical Infectious Diseases』2月号または3月号に掲載される予定である。
ガイドラインの趣旨の一つは、「抗生物質の誤用と乱用」を最小限に抑えることである、とガイドラインを作成したIDSA/ATS合同委員会の共同委員長を務めるマクマスター大学(カナダ、オンタリオ州ハミルトン)医学部教授であり感染症専門医であるLionel Mandell, MD, FRCPC, FRCP(Lond)は述べた。
「患者全員がキノロン系薬を使用することは望ましくないため、その使用は任意である」と、Mandell博士はMedscapeに語った。「薬剤耐性のリスクを減少させたい。過去3カ月間にマクロライド薬を使用した患者に再度マクロライド薬を処方してはならない。キノロン系薬についても同じことが言える」。
ガイドラインの著者らは、CAPとの関連が認められつつあるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株もあるということを認識している。これらの高病原性MRSA株は通常、新規IV型カセット染色体mec(SCCmec)遺伝子を有し、多くはPanton-Valentine型ロイコシジン(PVL)遺伝子を有する。PVL細胞毒は、壊死性肺炎、膿瘍および膿胸形成、呼吸不全、ショックなどの症状に関連している。
新ガイドラインでは、「特定の臨床症状」の患者に治療前の血液培養、ならびにルーチンの喀痰グラム染色および培養が推奨されている。2003年ガイドラインでは、肺炎で入院した全患者に対して2回の治療前血液培養、ならびに喀痰グラム染色および培養を行うよう勧められていた。
「培養を行うなということではない」と、Mandell博士は述べた。「何の利益も得られない場合は、培養を行うなということである」。
改訂ガイドラインによれば、好中球減少症、重症慢性肝疾患、重症慢性閉塞性肺疾患、無脾症などの臨床症状がある場合に、より広範な診断検査の適応となり、血液培養を行う必要がある。最近旅行をした患者、レジオネラ菌迅速検査陽性患者、または肺炎球菌尿中抗原検査陽性患者については、痰培養を行う必要がある。
新ガイドラインでは、入院が必要な患者を決定するためのスコアリングシステムとして肺炎重症度指数(Pneumonia Severity Index:PSI)の使用が支持されている。また、CURB-65(錯乱、尿素>7mmol/L、呼吸数≧30/分、収縮期血圧≦90mmHg、拡張期血圧≧60mmHg、65歳以上)の使用も支持されている。
30日死亡率計算時、CURB-65スコアが3以上であれば、集中治療室(ICU)で治療を行うべきである。スコアが2の場合は、通常病床で十分である。CURB-65スコアが0または1の場合は、外来治療を行うのが妥当である。
医療資源が十分であれば、外来で治療可能な患者をPSIで同定できる。PSIは肺炎患者の死亡リスク因子に基づく。Mandell博士によれば、多忙な救急外来(ED)では、PSIほど広範には研究されていないが、CURB-65の方が実用的なツールであるという。ガイドラインによれば、PSIまたはCURB-65のいずれが優れているかを判定するために、臨床試験で直接比較を行う必要があるという。
新ガイドラインでは、敗血症性ショック患者または人工呼吸器が必要な患者については、ICU入室が推奨されている。また、呼吸数≧30/分、PaO2/FIO2≦250、多葉性浸潤、錯乱、尿毒症、好中球減少症、血小板減少症、低体温をはじめとする重症CAPの小基準のうち、3つを満たす患者についてもICU入室が妥当である。
生来健康で過去3カ月以内に抗菌薬を使用していない患者に対しては、マクロライド薬またはドキシサイクリン薬が推奨される。共存症が存在する場合または過去3カ月間に抗菌薬が使用された場合には、別のクラスの抗菌薬を選択すべきである。具体的に言うと、過去3カ月間にキノロン薬が処方された場合には、キノロン薬を処方してはならない。過去3カ月間にマクロライド薬が処方された場合には、マクロライド薬を処方してはならない。
治療の選択肢は次の通りである:モキシフロキサシン、gemifloxacin、レポフロキサシン(750mg)などの呼吸器系フルオロキノロン薬、βラクタム薬+マクロライド薬、グラム陰性腸内細菌のリスクがない場合にはテリスロマイシン。
「テリスロマイシンによる毒性が複数報告されている」と、Mandell博士は述べ、FDAがそれらのテリスロマイシンによる毒性症例を検討したことについて言及した。「我々の論点は、毒性は他のどの薬剤よりも強くなかったという点である」。しかし、肝機能障害既往患者にテリスロマイシンを処方してはならない。
注目すべきことは、有害事象プロフィールに関する懸念のため、ガチフロキサシンが治療法としてもはや推奨されていない点である。
ICU入室患者でなければ、呼吸器系フルオロキノロン薬またはβラクタム薬+マクロライド薬を投与してもよい。ICU入室患者に対しては、βラクタム薬+アジスロマイシンまたは呼吸器系キノロン薬を投与する必要がある。
以前のガイドラインでは、 抗生物質療法開始の時間枠は患者の診察・評価から4時間以内であった。早期治療に関する以前の勧告を支持した研究には内的整合性の問題があったため、新ガイドラインでは具体的な時期のガイドラインや時間枠は示されていない。新ガイドラインでは、できるだけ早期に抗生物質療法を開始するよう勧められているが、施設によって差があるのは当然である。患者がEDに入院した場合、最初の抗生物質投与はED入院中に行うべきである。
治療の時期に関する勧告がないのは妥当である、とIDSA 2006年プログラム委員会のメンバーであるPaul Auwaerter, MDは述べた。同博士は、ガイドラインが発表されたセッションの議長を務めた。
「時期に関して厳密な勧告を行うということを考えると、データの多くは観察研究から得たもので、プロスペクティブ(前向き)研究から得たものではない」と、ジョンズ・ホプキンス大学(メリーランド州ボルチモア)感染症部門臨床部長のAuwaerter博士は述べた。「多くの患者が他に診断上の問題点を有する可能性があるため、抗生物質を投与する前に時間をかけてそれらの問題を確認したい」。
Auwaerter博士によれば、血液培養の選択的使用は、より賢明な抗生物質使用への第一歩であるという。培養は汚染される可能性があるため、疾患の正確な指標とならない、と同博士は付け加えた。
「まれに血液培養が特別の配慮を必要としない肺炎患者のルーチンケアに影響を及ぼすことがある」と、Auwaerter博士は述べた。「早期情報に基づいて不必要な抗生物質を投与している可能性がある」。
48-72時間熱がなく、臨床的に不安定な感染の徴候が1つ以下である場合、治療期間は最低5日間まで短縮されている。初期治療が無効な場合、髄膜炎や心内膜炎などの肺外感染症による合併症がある場合、菌血症、特に黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、または緑膿菌菌血症を伴う場合には、治療期間の延長を要する。
2003年ガイドラインと2007年ガイドラインの他の相違点としては、新ガイドラインには汎発性インフルエンザに関する項や無反応肺炎の管理に関する項はあるが、高齢者やバイオテロに関する項はない。
Mandell博士は関連のある財政上の関係を報告していない。Auwaerter博士はSchering-Plough社、Pfizer社、およびOrtho-McNeil社の諮問委員会のメンバーである。
IDSA 44th Annual Meeting: Update on Practice Guidelines. Presented October 13, 2006.
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